挑発から始まり、罵声と怒号の中で終わった一戦。試合前、ロッキーズのチビリが吐いた「大谷は速球に弱い」という言葉は、まさに火種だった。しかし七回、静かにバットで応じた大谷翔平が放った時速184キロの二塁打が、試合の流れを根底から変えた。
ベッツは「あの瞬間、翔平が囁いた言葉で迷いが消えた」と明かし、決勝打の裏にあった二人の信頼関係を語った。だが敗戦投手となったチビリは「偶然だ」「審判が不公平」と暴言を連発し、逆に全米の非難を浴びることになる。
グラスノーは「彼の目には恐れが宿っていた」と断じ、MLBは即座に制裁金と球団への罰金を発表。さらにハーシュハイザー、ロドリゲス、トーマスらレジェンドOBが「オオタニの一打は必然」と断言し、世論は完全に大谷とベッツを英雄視する方向へと傾いた。
数字を超えた観察眼と胆力、仲間との信頼。挑発を沈黙で返し、勝利を呼び込んだ大谷翔平の一打は、野球という競技の本質を示す象徴的瞬間となった。
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