歓声が去ったあと、
東京ドームの通路には別の沈黙が残っていた。
敗戦の余韻。
揺れる視線。
そして言葉にならない苛立ち。
ほんの数秒、
一人のスターが足を止めた。
静かな声でかけられた助言。
しかし、その言葉は届かなかった。
やがてロッカールームでは
感情が衝突し、
ガラスの音が静寂を破る。
チームを守るべき言葉が、
逆に亀裂を深めていく。
その一方で、
同じ試合の終わりに見られたのは
まったく違う姿だった。
敗者へ向けられた一礼。
国歌のあとに送られた拍手。
勝敗とは別の場所で、
野球の価値が静かに示されていた。
だから世界は見つめている。
この大会で試されているのは
スコアではなく、
チームという存在の意味なのかもしれない。

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